毛深い豚の逆襲

高校生のころ、結構太っていた。

今より体重が五キロくらい多く、まあ見た目もややぽっちゃりしていたと思う。

おまけに運動嫌いで外出嫌いだったため、ぶよぶよして色も白かった。その上、年頃の女子にあるまじきことに美容にもとんと興味がなかった。足のムダ毛も生え放題だったためさぞやおぞましい姿だったと思う。

 

そんな私に兄がつけたあだ名が「毛深い白豚」だった。

まあ見たまんまのなんのひねりもないあだ名だったが、私の心はひどく傷ついた。

元々兄は色々私のことをからかってばかりだった。

私の足もよくからかいのタネだった。

足が大きく、まさに「馬鹿の大足」状態だったのだ。

思春期が来るか来ないかの頃に、足だけが大きく育つのをみてもしかしてすらりと背の高い女になるのではないか(それを支えるための大きな足なのではないか)と思っていたその予想は裏切られた。

自分の足を見るたびに、以前飼っていた雑種犬が、子犬の頃足が太くて大きいため獣医さんに「この犬、足が太いから大きくなるかもしれないね」と言われたものの、中型犬どまりだったのを思い出す。

そう、ただの足がちょっと太い中型犬に彼は育ち、私は甲高・幅広・履ける靴が少ないため靴のバーゲンセール行くとがっかりする大人に育ったのだ。

 

母に兄のことを告げ口すると「それはきょうだいだから。あんたが可愛いから」などど意味不明の言葉がかえってくるばかりだった。

 

兄妹そろって立派な中年となった今、兄は中年太りで腹の押し出しも立派になり、私は少なくともぽっちゃりではなくなった。ざまをみろと思っている。

さらに兄の娘が私より背が低いのに私と同じ足のサイズで、かつて私がぽっちゃりとからかわれていた体形により近い。きっと兄は私をいじめていたことを後悔しているに違いない。

 

こんなざまみろざまみろとお腹の中で父親を罵倒するおばさんなど、ただの恐怖と嫌悪の対象に違いないので、もちろん姪っ子にはそんなそぶりは見せたことはない。

 

だた、男子のみなさん、きょうだいと言えども、体形や容姿をからかわれると結構傷は深いのだよ!